寝返りを打つ居心地よさそうな君をみると、心の奥底に隠れたものが全部消え去る。
脈打つ鼓動にさえ引き寄せられる。ダイスキだこの人が。
なんて、解りきってること。君に逢えて気持ちを結んで、それは夢でも幻でもないのだから。
S n o w i n d r e a m
生温い掌の温度。乾いた空気。
今日はいつも居ない君が隣に居るのに、何故か身体は身震いをした。
ストーブのスイッチを押すと、画面に映る温度は2度。
これじゃあ寒い筈だ。
カーテンを開けると、透明なガラス越しに見えたのは、真っ白に降り積もった雪。
部屋の中とはまた別世界で、もっともっと凍えそうな風が吹いてそうな、淡い景色だった。
靴下を履いてない足が寒さに負けて、またベッドへと舞い戻り。
「ねぇ、」
「・・・・んー・・・」
揺らした肩も虚しく、はアタシの居る方向とは逆を向いてしまう。
何度名前呼んだって、一緒。
仕方なく布団を頭まで被って拗ねてると、布団の擦れた音がした。
きっと気づいたが、寝返りうってこっち見てる。
「・・・あと10分待って。そしたら支度すっか・・ら」
「なんの支度?」
「え・・・仕事」
「今日仕事休みじゃーん」
目を瞑って会話した君が、瞼の奥から瞳をちらつかせる。
まだ半分、夢の中。
無意識でしてるのか、右手を布団から出して、少し伸びたあたしの髪を撫でた。
「・・・あれ、そーだっけ・・・」
「そうだよ」
「なんだぁそれ早くいってよー・・・」
語尾がだらしなく延び、小さくちいさく掠れて消えた。
の指が、自分の髪をかき上げる。
はあたしの腕を引っ張って、自分の傍までもってくると
そのまま、ぎゅうっと力を入れた。
ひとの匂い。それから、ゆっくり脈打つ鼓動。
邪魔になった左手をの身体の後ろに回して、布団の中の暗闇から君の顔を探す。
「、雪降ってるよ」
「・・・え、そーなの・・・?」
「ゆきだるま作ろうよ」
「んー・・・あとちょっと・・・こんまま・・・で・・」
忘れかけた頃、ストーブがやっと活動し始めた。
それから聞こえたのは、耳元で、甘い言葉でもなんでもなく、
幸せそうに眠る、の寝息だった。
なんにも飾ってない寝顔。素の、ひとりの人間。
この人を夢見て生きてきた分、愛おしさ以上の大きな何かがこみ上げる。
言葉は窮屈だ。想いを馳せるかの如く、瞼は瞳を覆った。
段々記憶が途切れる感覚を覚え、それは永久に繋ぐ夢の様な。
キラキラと目の前に積もる冬の冷たさに反した、君の温もりを残しながら。
そんな夢を、今日は見た。
起きたときにやっぱり君は隣で目を瞑ってて
やっぱり外は、雪景色だった。
嬉しそうに微笑んだ無防備な頬を、軽く抓る。
「ねぇ、」
「・・・・んー・・・」
今度は夢なんかじゃなくて、リアル。
今君とあたしは、此処に居る。
日常的ななんでもない時間が、君に逢って形を変えた。
そう夢で実感するたび、夢だけじゃなくて良かった、と。
「・・・あと10分待って。そしたら支度すっか・・ら」
もう一度、永遠に浸りながら、眠ってもいい。
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’05ラスト小説(じゃないかもしれない。)!
甘ーーっくないですか?(笑)わたしの感覚が可笑しいんですか。
最後、夢だったのかよ!みたいなとこがうちの小説っぽいね(ひねくれてる!!笑)
誰にでも合いそうだったので、FREEにしました。
もうすぐ2006年だねー・・・。
小説に関しての目標は・・・、仁やカメに怒鳴らせてみたいです(笑)
そう!さっき、写真サイトさん回ってたら、もの凄いステキな人物写真があってね!
それをネタにして(勝手に;)書こうと想ってます(だから、ラスト小説じゃないかもしれない)
気分屋気まぐれ管理人をどうか許して下さいにゃ。
05.12.29