あんなに青く広がっていた空が、見上げると暗くて何も見えない。

ふわふわと、身体が浮いているような感覚―、足が、床についていないような、

それを、隣に居る君に告げると、君は悲しそうな目で笑った。























丁度、観覧車に乗り始めてからだ。



てっぺんに昇るにつれて、ゆっくり、ゆっくり、
背景は、青から赤、オレンジ、灰色、
残り半分の時間は、立ち並ぶ、明かりのついたビルが、大きく瞳孔に映った。



いっぱい、遊んだね。
いっぱい、話もした。

アイスクリームも食べた。
甘いモノをあんまり食べない君は、あたしのアイスを一口舐めただけだったけど。

コーヒーカップで君があまりにも回しすぎるから
そのあと気持ち悪くなって座り込んだあたしを見て、ごめんな、
だけど面白そうに笑ってた。


君の隣歩いて、歩幅揃える。

なんか、カップルみたいだね、って冗談半分に言ったけど
みたい、じゃなくて、カップルじゃん、君の顔は笑って無いから
あたしはうれし涙堪えて、深呼吸して上を見た。













楽しかった、楽しかった。


同じ言葉並べて、笑い合うけど、段々、トーンは低くなっていく。





はしゃいだあたしの身体は、疲れてるはずなのに、


重力に逆らった力が掛かって、妙な感じだ。












「カメ、ちゃん?」




スニーカー履いた足がピタ、と止まる。

あたしは不思議に、君の顔を覗き込んだ。




少しだけ、ホントウに時間が止まったのかと、思った。




















―泣いてる?













ドク、ドク、ドク、ドク、


君の弱い姿、初めてだった。あたしは、どうしていいかわからなくて、空回り。

暗いけど気のせいじゃないだろう。
キラキラと、瞼に溜まった光は、一粒だけ、スルリと君の頬を伝った。










「カメちゃん、」


「名前、呼んでよ」














―和也。














追うようにして、もう一粒、もう一粒。

どうしたの?

拭おうとしたあたしの掌。差し出して、君の頬に・・・
・・・? 瞬間、君の涙の理由が、見えた気がした。 あたしの手は、君の頬を通り過ぎた。 あたしは、君の涙さえ、拭うことができなかった。 最期まで何も出来なかった、ごめんね そっか、 宙を舞ってる感覚も、トーンが低くなる君の声も、 全部全部、やっと今、分かったよ。 あたしはもう、此処に居ちゃいけないんだ 手は、繋いでくれないんだ、なんて あたしの、もやもやした気持ちだって、君の気持ちなんかよりずっと楽で 今考えれば、一番辛いのは、君だったんだ 「俺、好きだって、言ってやれ、なくて、、」 「充分だよ。今日、楽しかったもん」 君は今日、どんな気持ちであたしと一緒に居たんだろう 馬鹿みたいにはしゃいでた数時間前。想い出すと鼻がツンとする。 ほら、気が付かなかったけど、今日は星がいっぱい見えるね。 手を伸ばしたら届きそうなくらい、掴めるくらい、いっぱい。 「ずっと、好きだよ、、、、、、、」 「ありがとう」 口元をゆるめると、目線をゆっくり戻した君は、 あたしに精一杯の笑顔を作った。 そうだよ、いつかは、誰だって。何だって。 永遠なんて、太陽と月しか、持ってないんだよ。 ―あたしのこと、忘れないで、ね。 君の涙は、止まることなかったけど。 あたしは、触れることできないけど。 最期に見た流れる一粒は、掌を濡らして少し冷たかった気がしたんだ。 抱きしめる、素振り。 小さく、ちいさく、なきながら、 また、逢えるよね、って あたしがぎゅっとつむった目から、大粒の涙が、零れた。 05.09.10
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