ふと耳を澄ますと、雨の音がした。 
にぎやかな外の風景の音、さて、今日は何の日だったか


いつもと変わらない此処に嫌気なんて差すことはなくて
薄暗い部屋に立ち込めるのは、大好きな君の香水 









U   P      T   O      Y   O   U












「、、、」 



隣で寝転ぶ仁が読んでる雑誌に、わざと髪を乗せるようにして 
仰向けになった 午後4時半

綺麗な目から、目線が外せなくなったアタシは、
そう、いつもの様に、早くなる鼓動を抑え。 
口遊ぶ歌は途切れて、仁は、少しだけ笑い、口を開く 







「ちゃん、見えないの雑誌が」 
「うん、知ってる」 
「お前―、髪痛んでんなあ」 



柔らかく触れたその手には、今にも泣きそうになるけど 
それでも気の利く脳は、次の言葉を探していて。
見詰める睫毛、瞬きをする度に、チラチラと揺れる綺麗な線


その愛しい唇に、触れた指先






「仁、遊んで」 
「さっきまで遊んでたじゃん。まだしたいの?」 
「仁―・・・じんじんじんじん」 
「なにこの子(笑)」 



その辺に散らばっている雑誌と同じ顔で笑う君
やっぱり今日は、特別、違う人の様に思える
何故だろう、何故だろう



どうしていつも、「好き」だと思うたびに

それとはまた別の感情が、襲うのだろう





毛先を触ってた、カタチの良い手のひらは、いつの間にか、 
アタシの顎をぐっと持ち上げて
最後に見えたのは、仁の長い睫毛 







アタシタチは 長い口付けを交わした 








それは言葉に表すと、とてつもなく甘く
それは自分以外の誰にも理解できないくらい、切なく

嗚呼、こんなにも傍に居るのに
嗚呼、こんなにも優しいキスを貰ったのに











「お前ってさ、俺以上に、感情の波激しいよね」
 



そう言って見透かしたように、笑う、瞳 
髪を撫でる行為は、唇が触れるくらいに、近く
そしてこの部屋には、愛しい呼吸さえ聞き取れてしまう程、無音

もう一度、確かめるようにキスをする



もう一度、



もう一度、



もう二度と、この目が開かないように、そう、
もう二度と、君を好きだという事実が、他の感情に紛れないように




















やっと空いた唇が寂しくて、
やっと不安定なこの気持ちが言えそうな気がして、













「アタシ、仁が居なかったら、死んじゃう」 
「お前がそーやってゆうと、嘘に聞こえねー(笑)」 





嘘じゃないよ、言いかけて、言えなかった 


続く言葉の変わりに、雨が、地面を濡らし 






時は経ち 




気付かぬうちに雪に変わり 










また、この季節が来たのだと、実感する 














「そろそろ、駄目かもしれない」 

「ん?」

「仁を、愛しすぎて、潰れそう」 






失う怖さ 



キミが消える恐ろしさ 





アタシが、仁を愛す程に、増えて、どうしようもなくなって 
いつからだったか、愛することに抵抗を覚え 
いつかサヨナラするのだと、終わりがあるのだと、現実を知り 









「仁だって、重いと思うの」 

「、、、」 

「アタシはこんなにも、仁が必要で、一人じゃどうしようもなくって、 
それは、仁にとって重荷になってる」 

「誰が、そんなこと言ったの」 

「、、、」 

「俺は、そんな風に、思ってないよ?」 






自分の唇を噛み締める
さっきまでは、君の体温も混じってた筈なのに
この季節の気温に負けて、冷たい

呆れたように聞こえた仁の声
だけど翌々考えてみると、それはいつもどおりの優しい声だったかなあ

仁の仕草が、そういう風に思わせた



目に溜まる水滴を拭う 君の人差し指


ぼやけた先、、、、










深々と降る雪は、気持ちとは裏腹に、真っ白な粒で 














「は、馬鹿なんだからさあ」 
「、、、仁、、よりはバカじゃな」 
「うるせーよ(笑)」 



仁は言葉を遮り、口元を緩ませる 
キミの少し長い髪が揺れ、アタシの頬に触れた 




嗚呼、この手も、髪も、全部好きだよ 
好きだけど、好きだから、不安が過ぎる
愛する人が傍に居る幸せなんて、すぐに壊れそうで 
結局、自分が傷つくのが怖くて 
そんな自分を、いつか仁は見放し、あたしはまた、ひとりぼっちになるから







「、、、仁」 

「そんな、無い頭で、深く考えすぎんなよ」 













愛しすぎて 













「何が、悪い」 

「、、じん」 

「俺はを愛して、愛し過ぎて、は俺を愛して、何が、悪い」 





大丈夫だから、と、キミが言うのを最後 
前の見えないあたしは 
泣きながら、仁の暖かな鼓動だけを、耳に寄せた

良かった、冬の気温に負けないくらいの、手の温もり
頭から離れない、君の甘く心地よい声のトーン
言葉では言い表せないくらい、
やっぱりあたしが生きていけるのは、紛れもない君が

君が傍に居るからであって
















「どれだけだって、受け入れてやっから」 
「、、、仁」
「だからもう、心配すんな。いっぱい、俺の事、愛してよ」 













そのときに、ふと、思い出したのは 

丁度一年前の、この季節 













「メリークリスマス、」 

「、、、今日」 

「そう、今日、クリスマス」 



雪が降って喜んだ去年


そういえば最近、君以外の事に無頓着で
世間一般では祝う今日の記念日だって、
あたしにとっては、指折り数え楽しみにする程、興味のあるものでは無かった

プレゼントなんて要らなかった

ただ君が、あたしの傍に居れば、良かった





「プレゼントはねー」 
「うん」 
「俺が、1日中、愛してあげるって事で」 
「去年も、そうだったね」 



こんな風に、笑いあって、だけど泣いて 
そうやって、何をするのでも、ぜんぶぜんぶ 




君とじゃなきゃ





やっぱり今年も、どうしようもないアタシだけど、
来年もそうかもしれないけれど、
再来年もそうかもしれないけれど、


ねえ、そうやって不安になるあたしを、馬鹿だなあって

笑って、叱って、

手を繋いで、抱きしめて、キスをして、



どんな、ありふれた言葉でもいいから、全部欲しい
どんな、事だって、それは、アタシが君を愛する

ひとつの、理由になっていくから








Merry Christmas++

毎度毎度読んでくださって有り難うございます。
このサイト、仁を贔屓し過ぎってくらい、仁の小説が多いこと。
愛故なので、許してやってください。
これくらい、好きになれる人がいるっていうのは、幸せな事だなあと思います。

さあ。いつもに増して意味不明文ですが(自覚はある)
言いたいことが、ちゃんと言葉に出来る人はエライですね。ワタシ出来ません。
でもそれでいいと思うよ。
感想だって同じ!言いたいことが言い表せなくっても、いいからさ!!笑
みんなの気持ちが、アタシの原動力です。サンキュー。

そして、皆様に、愛を込めて。メリークリスマス。
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