君が此処を居なくなってもう3ヶ月が経つよ。
もうすぐ、君の好きな季節が来るよ。早く、、、。
積もった雪が音を立てて崩れた。
日中の温度の所為で地面は段々と水たまり状態。ぼやけた自分が映り、蹴る。
泣き腫らした目は、もう開かないかも知れない。
冷たくなった手は、もう暖かくならないかも知れない。
昔君は教えてくれた。
雨はいつか上がるし夜はいつか明ける。雪もすぐ溶けて桜が咲き始めるんだよと。
ほほえんだゆるーい口元が思い出せない。
さっさと荷物を片づけて、仁はアパートを出ていった。
すぐ帰ってくるから、って、いつかも言わないで、聞くなって言う、目をしたから、
あたしは何も言えずに立ちつくした。
それから一週間は、感情がなかった。
一週間経ったあとで、今更、君を追いかけなかった自分を後悔した。
この部屋で、
どうやって生活をしていたのかさえも、分からなかった。
仁、聞こえますか。
人間は生まれつき重い荷物を背負っていて、
その寂しさっていう荷物を軽くしてくれたのは、君なんだよ。
今は、重くて動けないよ。
毎日来る公園、ベンチに座ってギターを出して、足組んで。
伝えたい人も居ないのに、歌唄ってる。
泣きながら、もう、人に変な目で見られるのは慣れたよ。
どーして、君がとなりにいないことだけは、慣れないんだろう。
夕暮れ見え始めると家のドア開けて部屋に入る。
君と過ごした6年間分の部屋。あっさりと時間が止まった場所。
喧嘩もよくした。いっつも謝るのはあたしだった。
次の日には喧嘩の事なんか忘れて、2人で夜の買い物に行った。
意味もないのに、夜中コンビニ行ってお菓子と煙草買った。
仁、聞こえる?
あたしも、がんばらないといけない?
君を知って君に出会って別れるくらいなら、はじめからしりたくなかったよ。
思い出だけで十分だなんてまだ言えないよ。
あたしは、あたし、、、は。
溢れる涙を手で押さえて止めた。
瞼を閉じて耳を澄ませて、音を聞いた。
その音は、あたしの部屋の前で止まった。
ドアを二回、ノックした。
「ただいま」
あたしの背負ってた荷物は、君と引き替えにどっか消えた。
いつかの様に立ちすくんで震える手は、もう居場所迷う事は無い。
一言、枯れた声で口にしたこの言葉は、
あたしのなきごえときみの白い吐息に消されて、聞こえなかったかもしれない。
それでも、いいや。
どこに行ってのっていう疑問も、寂しかったっていう感情も
未来の約束も、
もう君以外愛せないって言葉も、出ないくらい、
あたしは。
力一杯あたしを抱きしめた君の手は、こんなにも熱を帯びてたから。
おかえり。
07.01.27