雪に変わって舞い散る花びら見る度に思い出す、思い返す。
毎日聴いてた音楽のフレーズと、笑う横顔、瞳の中の自分























Retart


















なんとなく出会って、なんとなく一緒に居る時間が多くなって
なんとなく意識し始めるようになった時期から、逢える時間は極端に短くなった。

仕事も理解してるし、好きになっちゃいけないことも分かってるはずだったのに。
ただ押し寄せるのは仁がスキだって事実と、寂しさ拭いきれない現実。






「わり、撮影長引いてんだわ」

「いーよ。ガンバレアカニシ!」

「お前誰だよ(笑)」

「また今度来てね」






本当に、ウザいぐらいに逢えてた毎日から開放されると
1日何やっていいかわからない位長かった。

昔は言いたいことなんでも言えた仲。

今じゃ、自惚れちゃう程かわいらしい嘘で、会話を塗り固める。

ホントウの自分が見えない様に。







寂しくなんてない。

別に、相手は誰でもよかった。だなんて、嘘でも思えないし。



悔しくて、何度も泣いて。泣きやんで、泣いて。
こんなにも自分が、学習しない馬鹿だったとは。


















「やっと繋がった!なんで今まで電話出なかったんだよ」

「・・・だって、別に彼女じゃないし」

「でも最近まではずっと俺に連絡くれたじゃん」

「・・・もう、電話もメールもしないで」

「は?何ソレ」









無理やり切った携帯電話に虚しく残るのは、着歴だけ。

“削除しますか?” “Yes”






こうすれば、自然に終われるって想った。甘い考えなのは承知の上だった。
携帯に水滴が滴って、君と逢ったことに後悔して。





これでいいんだ。これが一番正しい道だった。

そう思えないから、余計悲しくて、携帯を持つ手が震える。











ここからrestart?
違う。こんなところからじゃリスク高すぎて、飛べない。


























“今からそっち行くから”





























その日の深夜届いたメールが、あたしの見据えた“これから”を一変させた。
































一段と寒い今冬が過ぎた今、桜舞い散る今、あたしの隣には、君が居る。






「〜♪」

「あ、鼻歌泥棒」

「うっせーよ」


仁は笑った。あたしも攣られた。
軽く繋いだ手を自分の膝上に置いて、君はいつもの曲を続けて口ずさんだ。
















「俺等って、はじまってもねーし終わってもねぇけど、俺お前居ないとだめみたいだわ」




あの雨の日の深夜、外は当然真っ暗で、表情を見ることさえできなくて。

抱きしめられたから、安心して涙を流した。
言葉に込められた意味は、一緒の気持ちだからわかる。


少し濡れた仁の肩は、もうすぐ来る春を知らせてた。



「一人で、抱え込むな」

「・・・うん」

「もっと我が侭言ってよ」

「うん」

「もー。泣くほどおれのこと好きなの?」

「・・・自惚れ」

「事実じゃん(笑)」





















窓の外に揺れるサクラ。1枚、ゆっくりとベランダに舞い落ちた。

仁の腕がポケットに伸びて、掌からテーブルに零れ落ちたのは
見慣れた鍵と、もう一つ、キーホルダーの付いてない真新しいもの。




「今更だけど、さ」


照れくさそうに前髪を掻き分ける仕草。
強く抱いた手を緩めて、君の長い睫毛を見上げた。







「お互いん家往復すんのめんどくせーじゃん?だから・・・」

「一緒に住んでいいの?」

「・・・俺の台詞とんなよ(笑)」




















今から全く新しい2人になる訳じゃないけど。
やっと、また、会えたね。

あの頃送ってたのは、なんとなくの毎日なんかじゃなくて、
抱えきれないくらいのしあわせだと、今更ながら感じたんだよ。

仁じゃないと駄目だから。仁以外じゃ意味がないから。

























「一緒に住まね?」


此処からがあたしたちのrestart。
























05.02.27






































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