マルボロに、慣れた手つきで火を灯す


それからしかめる顔は、あたしの好きな表情





































タ ー   8mg































「なに、人の顔じろじろ見てんの」




灰皿に灰を落とした仁が、こっちを向いて苦笑する





今宵、月が綺麗故に、今までのことを思い返してみましょうか

想い出すことと言えば、逢えなくて苦しくてやつれた時期もあったなぁとか

海には1度しか連れてってもらってないし、


短気だし。




だけど逢いたくてどうしようもなくて、仕事場まで乗り込んだ日もあった、

まあ、大分前の話だけど

どこに居ても、キミは右手のマルボロを離さない

お陰で、アタシの肺は真っ黒なんですけど、どう責任とってくれるんでしょう










煙草をくわえたまま、手招きされて、仁の隣に腰を落とす


無論、煙草の匂いは今まで以上にアタシの鼻を刺激する








「お前、もうちょっと背ぇ伸びねえの?」

「・・・」

「あと10センチは欲しいよなあ、俺の好み的に」







煙草を持ってないほうの手で、あたしの頭を叩いて


ふう、っと吐き出した煙は、見る見る間に空中に消えていき


見詰めた仁の口元は、あたしとおんなじ様に上がった









ねえ、と 覗き込まれた顔に、不意打ち。















唇を離し、あたしはにやり。


仁は、面白いくらいのリアクションで 両手を唇に当てて、


目をパチパチ見開いた







「おれ、いま、超どきどきしたんだけど!」





ハハハ!、って、いつもの高い声で笑い


それを隣で見ていたあたしは、いつまでたっても変わらない可愛さ故に


胡坐をかいた仁の足の上に跨った








「火、あぶねーよ」

「消して」

「ハイハイ」









君は笑ってあたしの我侭に答えた


じゅ、と音を立てて消える、まだ火をつけて間もないモノ
























もう一度、まだ煙草の匂いをもった仁の唇にキスをせがむ




















あの頃と、いつまでたっても変わらない

あたしの身長も、







「背なんて伸びなくても、仁はあたしの事大好きだよ」

「うわ、自惚れ過ぎ」





………




「ひ、否定はしねーけど・・・」






また点けるマルボロも、何年も変わってない君の弱さも


ずっと、煙草臭い君のキスの虜だってことも、


























好き、大好きだきっと



















挑発的なキスに


理性を失った仁が、あたしの服の中に入れる慣れた手、


どうしても、まだ慣れない恥ずかしさに顔をうずめた仁の服。












君の香水とマルボロの香りが混ざって、


ああやっぱり君のことが好きで仕方ない。














05.08.19


































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